''06/06/29 本紙掲載

(1) 危険除去
梅雨空続きの6月中旬、沖縄県宜野湾市の嘉数高台公園に上ると、街の真ん中を切り取ったような米海兵隊普天間飛行場が視界に広がった。敷地480ヘクタール。市面積の25%を占め、周囲に9万人の市民が暮らす。
平日の夕方、CH46中型ヘリコプター1機が離陸。周辺を旋回し、着陸、離陸を4、5分間隔で繰り返した。タッチ・アンド・ゴー訓練だ。
普天間には、鹿屋で訓練が計画される空中給油機(12機)などの固定翼を含め、52機が所属する。機体は外周フェンスに張り付くように林立するマンションや民家をかすめ、「世界一危険な基地」と呼ばれる。
公園に居合わせたタクシー運転手の男性(66)が、東アジア最大の米軍基地である嘉手納基地と比較してみせた。
「嘉手納は滑走路の一端が海に開いているが、ここは両端に人口が密集している。でも、文句言ってもしようがないとみんなあきらめている」
一帯はもともと農業地帯。米軍の占領と同時に接収され、周囲に無計画に住宅が建った。
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| 住宅密集地が迫る米軍普天間飛行場。米軍機はビルをかすめるように飛ぶ=6月中旬、沖縄県宜野湾市 |
ところが、名護市辺野古沖に代替施設を造る計画は反対運動で事実上頓挫。今回盛り込まれたキャンプ・シュワブ沿岸部での代替施設建設は、返還実現への再挑戦ともとれるが、宜野湾市は歓迎していない。
伊波洋一宜野湾市長は、在沖縄海兵隊8000人のグアム移転は評価しながらも、新たな普天間移設案には強く反対する。
「国は普天間の危険性が除去されるのは代替施設が完成する2014年になると説明した。あと8年も危険を放置するのは納得できない」
市は一向に進まないSACO合意に業を煮やし、04年4月、5年以内の早期返還を目指す独自の行動計画を作成していた。
その矢先の8月、普天間飛行場に隣接する沖縄国際大学にCH53大型ヘリが墜落、破片をまき散らして炎上した。
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夏休み中とはいえ、死者が出なかったのは奇跡といわれるほどの事故を境に、市民の注文は、騒音中心から事故への不安に変化したという。
同飛行場の騒音発生回数は1996年の約1万8000回から、2003年には2万8000回に増加。SACO合意後もヘリ訓練は激しさを増していた。墜落事故は市民の安全確保が置き去りにされてきた結果という苦々しい思いが、市にも市民にも根強い。
伊波市長は移設案がさんご礁の大規模埋め立てを伴う点にも批判的だ。「自然環境保全の観点で問題が大きい。実現は極めて厳しい」。何より、危険性が取り除かれないまま先延ばしされたSACOの二の舞いになることを懸念している。
在日米軍再編が目指すのは抑止力の維持と地元負担の軽減だ。米軍の鹿屋使用は、抑止力維持のための日米軍事的一体化へ向けた既定路線であると同時に、負担軽減の柱とされる普天間移設も起点としている。
■在日米軍再編米中枢同時テロ後の安全保障環境の変化に伴う世界的な再編の一環。日米両政府は5月1日の安全保障協議委員会(2プラス2)で最終報告を発表。普天間飛行場移設や海兵隊8000人のグアム移転、キャンプ座間(神奈川県)への米陸軍第1軍団司令部の改編・移転、岩国基地(山口県)への米空母艦載機移転などが盛り込まれた。 |
鹿屋米軍移転計画 Index


■在日米軍再編




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