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'06/05/02 本紙掲載 
特集 米軍移転計画
米軍再編最終報告 鹿屋 将来像見えず
「現場」不在で迷走 あいまい外交、地元翻ろう

 在日米軍再編をめぐる米軍空中給油機部隊の移駐問題は、日米両政府が米軍岩国基地(山口県)と鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地などに機能分散することで最終合意した。給油機移駐協議は当初、「現場」の米軍不在で進められたため、日米とも着地点を見極められず交渉は難航。その場しのぎと映る協議が続き、最後まで具体像を描けなかった。迷走した日米交渉を検証する。
(東京支社・三輪住雄)
 「日米間で残っている移駐問題は給油機だけ。こんなに長引くとは思わなかった」。4月初旬、防衛庁幹部はいらだち気味に語った。
 米軍普天間飛行場(沖縄県)の給油機の移駐先は、日米が1996年に岩国基地で合意。だが、昨年10月合意した中間報告では「鹿屋を優先検討」と変わった。米側はその後一転、岩国移駐を要求。鹿屋への一括移駐は部隊運用面で非効率として軍サイドが見直しを強く迫ったためだ。

■机上の空論
 伏線はあった。
 鹿屋移駐が現実味を帯びた昨秋、防衛庁制服組の間では懐疑的な見方があった。わずか300人規模の部隊を単独で鹿屋に置く不便さ。鹿屋基地には十分な福利厚生施設を新設する敷地もない。
 当時、ある海自幹部は「米軍は世界の戦地で経験を積み、部隊配置に極めてシビアな考えを持つ。娯楽施設も、ストレス解消のため基地内に置くのは当然とみている」と話した。
 再編協議で、日本側は外務省や防衛庁内局の背広組が中心に交渉し、軍事的知識や米軍に詳しい制服組は外された。
 今年初め、米関係者から岩国移駐要求を聞いた制服組幹部は「米政府も軍の声を聞いていなかった。政策主導は分かるが、現場不在の議論は机上の空論でしかない」と漏らした。一方、背広組幹部は「米内部の事前調整不足だ」と吐き捨てた。

■二転三転
 「優先検討」とのあいまいな文言をめぐり、政府内は揺れた。
 当初、政府高官の多くは「給油機は鹿屋」と強調。だが、米側の翻意を受け「96年の岩国案は生きている。中間報告で米空母艦載機の岩国移駐案には合意したが、鹿屋は最終決定ではない」とトーンダウン。
 ところが今年3月、艦載機受け入れを問う岩国住民投票で反対派が9割を占めると「やはり鹿屋は避けられない」に。
 高官の1人は二転三転した対応を認め「岩国の住民感情に配慮した。このころから鹿屋と岩国の分散案を本格的に検討し始めた」と明かす。そこには、つじつま合わせの政策しか見えてこない。

■悪循環
 「現実には分散案が浮上しても日米は具体的協議に入れずにいた。給油機移駐は普天間移設に伴う2次計画にすぎない。移設先をめぐる地元調整や在沖縄海兵隊グアム移転経費という「幹」の部分の交渉が難航したため、「枝葉」の給油機問題は放置された形だ。
 鹿屋市との協議にも影が落ちる。政府は市が求める飛行計画を示すことができず、市も対案を描けない悪循環に陥った。
 4月中旬、日米は「政治判断」の形で分散案に合意。政府は「日本、米、鹿屋、岩国の面目を保つことができた」と分析するが、地元があいまいな外交政策に振り回されたのは間違いない。
 「米は軍事戦略上、鹿屋常駐は好まないが、鹿屋の滑走路を使うことは切望している」(日本側交渉筋)。この“単純”な結論にたどり着くのに長い時間が費やされたが、鹿屋の将来像はまったく見えてこない。

 

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