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'08/08/03 本紙掲載 
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農村は誘う

農の自信回復へ研究会
竹林を生かした農村体験を考える山下康博さん=さつま町二渡

 タケノコの里、さつま町の二渡(ふたわたり)地区。よく手入れされたモウソウチクの竹林に一歩足を踏み入れると、涼しい風がそよぎ、猛暑を忘れた。中腹にバンガロー風の2階建て。建てたのは町グリーンツーリズム研究会長の山下康博(58)だ。
 名付けて「竹の子村」。自宅近くの竹林を切り開き、農家民宿の拠点として5月にオープンした。周囲にはリョクチクやコサンダケなどを植え、竹の種類を増やした。1年中、客がタケノコ掘りができるように、との狙いからだ。
 7月にはリョクチクが出始めた。タケノコご飯にして食べる。甘く柔らかい具がごろごろしている。「これが農家風」。山下は笑顔を見せた。
 二渡は川内川沿いにまとまった農地が広がる。しかし見かけと裏腹に衰退の影が忍び寄る。山下は仲間2人と高齢者らの農作業を請け負う中で実感する。
 数字が裏付けている。町全体の耕作放棄地は2005年で耕地面積の7%に当たる239ヘクタール。農業就業者はこの10年で800人以上減り、高齢率は7割と高い(農林水産省調べ)。
 6月末、広さ8アールの田んぼで山下を見た。地主の女性(83)の田植えを請け負い、1時間ほど田植え機を動かしていた。女性は「ありがとな」と何度も頭を下げた。日々の水管理はできても、田植えや稲刈りが困難な現実をうかがわせた。
 山下は東京の大学に進学し就職。鹿児島市でコンピューターを使った建築設計の会社も共同経営したが、8年前に二渡に帰った。「素晴らしい風景や自然があるのにもったいない」。故郷への思い入れは強い。
 町グリーンツーリズム研究会が発足したのは昨年3月。「中山間地の活性化策の切り札になる」と直感した。「今の農家は自信喪失状態で落ち込んでいる。都会の人に田舎はすごいとほめてもらえば自信になる」。
 研究会のメンバーは農家など39人。毎月、部会や先進地視察などを重ねた。県内での取り組みは南さつま市や南九州市などが先行しており、知名度アップを目指す。
 視線の先にあるのは国の事業「子ども農山漁村交流プロジェクト」で、小学生の体験宿泊が柱だ。本年度から一部の学校で始まり、4年後の12年度までに全小学校が対象となる予定だ。
 「まず100人単位の受け入れを目指し、迎える農家を20軒ぐらいにしたい」と山下。農村と都市をつなぐネットワーク作りは始まったばかりだ。(敬称略)


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