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'08/06/17 本紙掲載 
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奄美ロード

五輪へ「欠かせぬ島」
合宿盛ん 効果70億円
ウオーミングアップする野口みずき=3月、奄美市の名瀬運動公園

 五輪イヤーの今年も奄美大島で始動した。8月の北京で女子マラソン史上初の連覇を狙う野口みずき(29)=シスメックス。島では冬から春にかけ毎年走り込む。中でも年末年始の約2週間の合宿は恒例だ。
 暮れの奄美市大浜海浜公園。同じ合宿中の選手約50人と、もちつきを楽しんだ。アフロヘアのかつら、首にタオル。おどけた格好で、きねを振るい、場を盛り上げた。参加者とは気軽に記念撮影。郷里に帰ったようにリラックスした。
 アテネ五輪を制した2004年の正月は、島に昇った初日の出が「金メダルに見える」と知人にもらした。だが合宿の理由は「縁起がいい」だけではない。
 「奄美は(チームの本拠地の)京都が寒い時期に欠かせない。気候が暖かくて受け入れる人も温かい。きれいな海が見えるロードもあるし施設も整っている」と野口。
 中国・昆明での合宿中、全身に発疹(ほっしん)が出るアクシデントに見舞われ、3月上旬に緊急帰国。1週間後、再調整のため訪れたのも奄美だった。
 「奄美ロード」は五輪へつながっている。3月の名古屋国際女子マラソンで優勝した中村友梨香(天満屋)も直前合宿し北京の切符を手に入れた。
 「奄美にはマラソンのトップ選手がほとんど来ている。暑すぎず寒すぎずの気候が長距離に最適だ。高めの湿度もいい。質量ともに効果的なトレーニングができ、結果にもつながっている」と北京五輪マラソン統括コーチの河野匡(47)。名瀬運動公園陸上競技場は、日本オリンピック委員会が認定した北京五輪強化拠点施設だ。
 官民一体の受け入れ態勢の評価も高い。奄美市や奄美群島広域事務組合、観光業者らでつくる「奄美スポーツアイランド協会」(事務局・市紬観光課)は、誘致活動はもとより選手のもてなしにも力を入れる。
 年末のもちつきは協会主催。「島で年を越す選手が正月気分を味わえるように」との計らいだ。以前、野口が成人式に出席していないと聞き、特産の大島紬の振り袖を用意、記念撮影をおぜん立てしたこともある。
 合宿シーズンは例年11月から翌4月までの半年近く。奄美市によると、07年度の受け入れ実績は陸上を中心に92団体。1人当たりの平均宿泊数は約9泊で、延べ約1万2200泊に上る。市人口の4分の1が宿泊した計算だ。
 本格的な誘致は15年前に始まった。これまでの経済波及効果は、市の試算で70億円を超す。公共事業依存体質の改善が課題とされる島で、新たな産業の一つに育ちつつある。(敬称略)


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